御曹司と溺甘ルームシェア
このホルターネックのドレスならパッドを入れても問題なさそうだし、まさに私が欲しかったドレスと言える。

「少々お待ちください」

店員がカードを持って、店の奥に消える。

またスマホに目を戻せば、今は午後一時十五分。

エステサロンの予約は二時だから、どこかのカフェで少し時間を潰そうか。

来週のクリスマスパーティーには高校時代のメンバーが集まる。良いドレスが見つかって良かった。他の同級生には負けるわけにはいかない。

華美ではないけど、シックなあのドレスならみんな私に一目おくはず。ゴテゴテ着飾ればいいっていうもんじゃない。品位がなければ。

「……野々宮さま」

先程の店員が遠慮がちに声をかける。

「申し訳ないのですが、こちらのカードはご使用出来ないようでして……」

「あら、そう」
< 28 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop