御曹司と溺甘ルームシェア
私を溺愛している父が私に何の説明なく、カードを止めるわけがない。

何でよりにもよって冷泉が婚約者なわけ?

筆頭株主がどういうものかぐらい私でも知ってる。

営業にいる鷹頼を副社長に据えて経営に口を出そうとするのは理解できる。鷹頼は今の経営方針をよく思っていないし。

父は優しいけど頑固で昔のやり方を守り続けてる。でも、それじゃあ、うちはもう長くは続かないのだろう。

でも、私を婚約者にするって言うのはおかしくない?

私が婚約者に向かない事は、こいつが一番よくわかっているはず。

なんのメリットがこいつにあるわけ?

「私のマザコン発言がそんなに気に食わなかったの?」

私が声を荒げると、父があたふたした様子で止めに入った。

「寧々!冷泉君に失礼だぞ!」

「父さんは黙ってて!」

邪魔だと言わんばかりの勢いで父をキッと睨み付けると、父はシュンと大人しくなった。
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