御曹司と溺甘ルームシェア
私は冷めた顔で冷泉を見た。

全く悪意が感じられないんですけど。

……こいつ、私の前では悪魔みたいなのに、ののちゃんと一緒だと毒気を抜かれるらしい。

「うん。のの、寧々ちゃんとお友達になったの。嬉しい」

後部座席に座っているののが、横にいる私をじっと見て邪気のない顔でニパッと笑う。

……いや、友達になったわけではないんだけど……。

心の中でそう突っ込んだけど、実際に口にすることは出来なかった。

この子の笑顔は最強だ。

それに、この子を傷つけるような事は言えない。

ああ~、ののちゃんといると調子が狂う。

「寧々ちゃん、今度カフェにケーキ食べに行こうね。女の子の友達とずっとカフェに行きたかったんだあ」

夢見る少女のような顔でののちゃんが微笑む。

はは……。ダメ……とは言えないよね。

「今度ね」
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