御曹司と溺甘ルームシェア
「彼女、僕の婚約者なんだ。これから宜しく頼むよ」

冷泉は私を紹介して、エレベーターに乗ると最上階の十階のボタンを押した。

「俺の部屋は十階。マンションの事で困った事があれば、フロントに電話すればいいから。それから、これがうちのカードキー。なくすなよ」

冷泉がスーツのポケットから出したゴールドのカードキーを私は受け取る。

エレベーターが十階に着くと、目の前に両開きのドアがあって冷泉は私に促した。

「そのカードキー差し込んで」

冷泉に言われるままカードキーを入れると、ガチャと重厚な音がして、こいつがドアを開けた。

「ひょっとして、ワンフロア全部あんたの？」

「十階から八階までは俺の」

さすが冷泉、金持ってるな。

こいつの凄いところは、親の手を借りずに自分の力で何でも手に入れてしまうところだ。

鷹頼の話では株もやってるらしいし、今の冷泉商事での部長のポジションも自分の実力で手に入れたらしい。
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