御曹司と溺甘ルームシェア
私の身体がすっぽり覆われて……自分が酷く華奢に思える。

冷泉の胸って見た目はスリムなのに、こんなにがっしりしてるの?

ののちゃんはもっと細くて折れそうな感じだったのに……。

ううん、そもそも冷泉と比べるのが間違いか。

シトラス系の爽やかな香りが微かにする。

落ち着け、寧々。落ち着くのよ。

こいつは……男。近づけるな。

「ちょっと、何するのよ!」

顔を上げて冷泉を睨めば、こいつは楽しげに笑った。

「ののちゃんがやってるの見て、ちょっと試してみようと思ってね」

「離しなさいよ!」

冷泉の腕の中で暴れるが、しっかりホールドされていてこいつの腕を振りほどけない。

「駄目だ。あと三分」

私の目を見て冷泉がニヤリ。

「カップ麺じゃないのよ!」

混乱した頭で声を荒げれば、こいつはしれっとした顔で言った。
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