御曹司と溺甘ルームシェア
「掻いたら傷になるだろ?今、薬と水持ってくるから」

痒みの原因のお前が言うな!

冷泉が抱擁を解いて部屋を出ていくと、私は床にへなへなとへたりこんだ。

呼吸を整え、自分の身体に触れる。

顔と喉にじんましん。

顔はきっと赤く腫れているだろう。

「めんどくさい身体」

自嘲するように呟いて、自分の髪をかき上げる。

一生このままなのだろうか。

「ああ~もう、痒い!」

髪をかきむしると、冷泉がペットボトルの水と私が常用している薬とタオルを持って戻って来た。

私は咄嗟に自分の顔を右手で隠す。

「隠すなよ」

指の隙間から冷泉の顔を見れば、こいつは珍しく怒っていた。

何でこいつが怒ってるんだ?怒りたいのはこっちよ。
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