御曹司と溺甘ルームシェア
「見ないでよ。こんな醜い顔見たら気持ち悪いでしょう?それに、私にだって女としてのプライドがあるの!」

「下らないな。ちょっと赤くなってるだけだ。お前が変に気にし過ぎなんだよ。ほら、薬と水」

仏頂面で薬とペットボトルを冷泉が差し出すが、私の顔を見ても引いてはいなかった。

……顔を歪めると思ったのに、意外だ。

冷泉に手渡された薬を口に入れると、水を飲んで一気に流し込む。

「はい、タオルで冷やせよ」

今度は冷泉は私に濡れタオルを差し出す。

「あんたが急にあんな事するのが悪いんだからね。反省しなさいよ。手袋してたって、じんましん出る時もあるって言ったでしょう!」

冷泉から奪うようにタオルを掴んで喉に当てると、こいつに食って掛かった。

「ちょっとやり過ぎたかもしれないが、謝罪はしない。お前、俺が抱き締めたら震えるかと思ったんだが……。男嫌いでも、俺を怖いとは思ってないんだな」
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