御曹司と溺甘ルームシェア
冷泉はいい実験データが取れた研究者のようになぜか満足げ。

また私で実験して……。

うちなんかより製薬会社の株でも買った方が良かったんじゃないの?

「当然でしょう?冷泉なんか怖くないわよ」

「じゃあ、ちょっと踏み込んだ質問をしようか?少しはドキッとした?」

冷泉が私の顔を覗き込む。その目は楽しげに私を見ていた。

ドキッと……したかもしれないが、それは自分が冷泉に抱き締められてびっくりしたせいだ。

ののちゃんの時だってドキッとしたし……。

「じんましんが出来て死にそうでドキドキしたわよ」

憎まれ口を叩いて、私は冷泉から目を剃らしそっぽを向く。

「そうか。まあいい。時間はたっぷりある。俺はこれから接待があるから、家の中を探検するといい。帰りは遅くなる」

「一生帰ってくるな!」

冷泉めがけてペットボトルを投げつければ、こいつは憎たらしいくらい涼しげな顔でキャッチした。

「そんなに俺のベッドで寝たければ、ベッドで待っててもいいよ」
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