御曹司と溺甘ルームシェア
「それで自分が婚約者になってしつけるって?」

「自分が助けた女がじんましん持ちになって、そのせいでますます我が儘になって……。俺としては納得いかないんだよ。後味が悪いって言うか……」

俺は遠くを見ながら、あのサマーキャンプの日の出来事を思い出した。

あの事件は寧々の将来の事を考えて表沙汰にはしなかった。

俺と鷹頼が裏で手を回して、彼女に知られないよう秘密裏に処理した。

「響人、ひょっとしてまだ自分を責めてるの?」

「ああ……あの日の事をずっと悔やんでる。あの事件、予想出来なくはなかった。自分の落ち度だ。だから、鷹頼でも誰でもない。俺が寧々にずっと付き合おうって決めた」

同窓会の後、俺は鷹頼とバーで飲み直し、『寧々と婚約したい』と自分の意志を伝えた。

すると、鷹頼は酔いが一気に醒めたような顔で『正気か?』と声を上げた。
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