御曹司と溺甘ルームシェア

『寧々は俺に似て顔だけは良いが、良いのはそれだけだ。我が儘だし、浪費家だし、家事が出来ねえし、人をこき使うし……寝起きも悪いぞ』と寧々の欠点をいくつも列挙するあいつの声を俺はニコニコしながら聞いていた。

長い付き合いだし、寧々の欠点なんて知り尽くしてる。

『そんなの聞いても俺の決意は変わらない』

余裕の笑みを浮かべて言えば、鷹頼は後頭部をガシガシとかきながらボソッと呟いた。

『……大事にしろよ。返品は受け付けないぞ』

将来の義弟の言葉に俺は『ああ』とあいつの目を見てゆっくりと頷いた。

寧々の父親に『寧々を下さい』と頼みに行って快諾してもらったのは、その次の日の事。
「社長はまだこの件知らないんだよね？知ったら激怒するんじゃない？佐々木コーポレーションの社長令嬢との縁談の話進んでるんでしょ？」

信号に捕まると、成介が俺を見て言った。