御曹司と溺甘ルームシェア
「二日酔いなんだろう?酒があまり飲めないくせに、ワインを一本あけるからだ。自業自得だな」

冷ややかな目をして冷泉が私を嘲笑う。

「煩い。あんたに説教なんてされたくないわ。あのワインがいけないのよ。あんな不味いの飲んで何が楽しいの?ただの渋い酒じゃない」

ズキズキする頭を抱えながらワインに八つ当たりすれば、冷泉は意地悪く言った。

「その不味いワインは、じいさんが誕生祝いにくれたんだ。今度じいさんに会ったら俺の代わりに感想を伝えろよ」

げっ!

……じいさんが誕生祝いにくれた?

冷泉の言葉に顔から血が引いていく。

こいつのじいさんは冷泉商事の会長で、元経団連会長。

最近はあまり姿を見かけなくなったけど、政財界に多大な影響力を持つ人物だ。

……ヤバイ。さすがの私も経済界のドンに面と向かって『不味いワインでした』なんて言えない。言ったら、野々宮家具なんて簡単に潰される。
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