御曹司と溺甘ルームシェア
「あんた……いい性格してるわね」

キッと冷泉を睨むと、こいつは不敵の笑みを浮かべた。

「持っているカードは有効に利用しないと。お前には特にね。頭が痛くて着替えられないなら、俺が着替えを手伝おうか?」

「結構よ!」

フンと鼻息荒く突っぱねて、ソファーから立ち上がる。

「あと三十分ちょーだい。十五分じゃ化粧が出来ないわ」

当然のようにそう要求すれば、冷泉は冷たく言い放った。

「却下。今日は朝一で部課長会議がある。お前の都合で遅刻するわけにはいかない。ぐずぐずしていると、時間がなくなるぞ。一人で電車で行くか?」

電車?この私が?冗談でしょう!

「……この陰険悪魔!覚えてなさいよ」

冷泉をピッと指差しながら罵ると、自室に向かい何も考えずに衣類の山の中からからジーンズとアイボリーのシャツを発掘し、素早く着替える。

「……どうせ作業着に着替えるんだし、これでいいわよね」
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