御曹司と溺甘ルームシェア
次にバスルームに行って歯磨きと洗面を済ませ髪を手櫛で整える。

リビングに戻り冷泉の姿を探すと、奴は誰かとスマホで話していた。

「……だから、今は無理だよ。邪魔しないでくれる?じゃあ、切るよ」

素っ気なく言って冷泉は電話を終えると、気配に気づいたのか私の方を振り返った。

「意外と早かったな」

「ねえ、マスクない?」

化粧が出来ないなら、せめてマスクで顔を隠したい。

「何で?咳もしてないし、風邪を引いてるようには見えないが」

冷泉に「必要ないだろ?」というような目で見られ、イラッとする。

少しは女心を察してよ。

「スッピンを人に見られたくないの」

ムスッとした態度でそう主張すれば、冷泉はクスッと笑った。

「俺はすでに見てるけど?」
< 95 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop