御曹司と溺甘ルームシェア
面白そうに私を見る冷泉に苛立った私は声を上げた。

「あんたの事なんて気にしないわよ。会社に行くのにスッピンってのが嫌なの!」

「化粧しなくても綺麗なんだから必要ないだろ。大丈夫。化粧してたってお前より綺麗な女なんかいないよ」

「あんたの意見なんか聞いてない!」

条件反射で冷泉に言葉を返すが、端と気づく。

ん?あれっ?

なんか、今さらっと凄い事言わなかった?

え~と、『化粧しなくても綺麗』って私の事?

褒められて頬がボッと赤くなり、頬が緩む。

冷泉、たまには良いこと言うじゃない。

まあ、本当の事だけど。

冷泉から視線を逸らし、熱くなった頬に手を当てていると、それを見たこいつが口角を上げ、タイミングを計ったかのように毒を吐いた。

「美容に散々金をかけてきたんだ。スッピンくらい綺麗でないと、意味ないんじゃないか?」
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