御曹司と溺甘ルームシェア
冷泉の皮肉に絶句する私。

だが、数秒後には立ち直って、歯ぎしりしながらこいつを睨んだ。

おのれ……冷泉。ここに刀があったら一刀両断してやるのに。

……こいつに殺意を覚えずにはいられない。

今度、こいつのコーヒーに下剤でも入れてやろうかな。そんで、ずっとトイレに籠ってればいいのよ!

「もう時間がない。行くぞ」

私の睨みを全く気にせず腕時計に目をやると、冷泉はリビングを出てすたすたと玄関に向かう。

仏頂面で嫌々冷泉の後について玄関を出て、エレベーターでマンションの地下の駐車場に行くと、こいつはクーペタイプの黒い高級イギリス車に乗り込んだ。

「さすが、良い車乗ってるわね」

この車、二千万から三千万位するだろう。

冷泉に続いて自分も助手席に乗り込むと、ラグジュアリーな革の匂いがした。

「車は好きだからな。何ならこの車の説明でもしようか?」
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