御曹司と溺甘ルームシェア
フッと微笑しながら冷泉が私を見る。

「頭が痛いんだから黙ってなさいよ!」

シートベルトを締め、そっぽを向き忌々しい冷泉を視界から消す。

こいつと喋る気になれずずっと目を閉じていると、いつの間にかうとうとしてしまって、また冷泉の声で起こされた。

「寧々、着いたぞ」

身体がビクッとしてパッと目を開けると、そこは会社の地下の駐車場だった。

私がこいつの車でうとうとするなんて……。

冷泉の運転が良かったのか、それとも……身体がだるかったせいなのか……、他人の車の中で寝てしまうなんて私らしくない。

それに、昨日だって酔っぱらって寝ちゃうし……私の警戒心はどこにいった?

頭を抱えて項垂れていると、冷泉の手が伸びて来て、私のシートベルトを外した。

不意に接近され、身体が強張る。
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