御曹司と溺甘ルームシェア
「まだ眠いなら、キスでもしようか?すっきり目が覚めるよ」

悪戯っぽく光る冷泉の目。

本気なのか、からかってるだけなのかわからない。

でも、冷泉の顔が迫ってきて、私は一瞬パニックになりながらもこいつの胸板をドンと力一杯叩いた。

「お、お断りよ!あんたにキスされたら二日酔いが悪化するし、じんましんが出るわ!」

「それで俺が引くと思うか?俺と同じシャンプーの匂いさせて、結構そそられるのに」

冷泉が私の瞳を捕らえ妖艶に微笑むと、車内の空気ががらりと変わった。

「そ、そられる?」

冷泉の目から逃れられず、ゴクリと息を飲む。

「昨日も思ったんだが、お前香水つけないんだな。俺好み」

ペロリと唇を舐め、手袋をした手で私の唇をゆっくりなぞる。

悪魔の誘惑にザワワっと全身に鳥肌が立った。

「か、か……会議は?」

話を逸らそうとするが、冷泉は「もちろん出るよ」と言うだけで今度は私の顎を掴んでクイと持ち上げる。
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