クールな社長の甘く危険な独占愛

このまま、静かに帰ろう。

さつきは、そろそろと社長から後退りした。

社長が起きたら、大惨事だ。
でも……。

ちらっと、机の上のブルーのボードを見る。

あれはなんだろう。

先ほどからずっと、繰り返し誰かがしゃべっている。
本当に小さな声で、たぶん、同じことをリピートしている。

さつきは社長がまだぐっすり寝ていることを確認すると、そっと社長の机に近づく。
そしてひょいっとブルーのボードの向こう側を覗き込んだ。

十センチほどの小さなロボットが、机の上に立っていた。
粘土を丸めてつくったような大きな頭に、針金の長い手足。
社長がいつも座っている革張りの椅子はどかされて、そこに三脚がつけられた大きなカメラがセットされていた。
ちいさな喋り声は、社長のコンピュータから。

ロボットが歩いていると、突然頭が取れる動画がずっと再生されている。

よくよく聞いてみると、その声は社長だ。
頭が取れると「あ〜」と悲鳴をあげる。

さつきは思わずくすっと笑ってしまった。

なにこれ。
かわいいんだけど。

そして顔をあげると、社長と目があった。

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