クールな社長の甘く危険な独占愛


何かされると困って、何もされないと拍子抜け。

「どうしちゃったの、わたし」
さつきは部屋に入ると、自分の額に手を当てる。

気になり出したらとまらない。社長にとっては遊びだとわかっているのに、つい心が持って行かれる。

私は社長のこと、どう思ってるんだろう。

そんなことを思った。

あんなに綺麗な人、他で見たことない。あんな顔で「キスする?」って聞かれたら、誰だってクラクラする。きっと、タレントに夢中になるのと一緒で、憧れに近いんだ。そうにちがいない。

そこでふと、さつきは顔を上げる。

部屋の雰囲気が……なんだか、違う?

さつきの身体が緊張でこわばる。

おかしい。
だって、空気が……どこかから、外の空気が入ってる。
窓開けて出た? ううん、絶対違う。

さつきは恐る恐る玄関の明かりをつけ、リビングの暗闇に目をこらす。

怖くて、リビングに入っていけない。

さつきは後手に玄関の扉を開ける。とにかくこの部屋から一旦出て考えよう。それから……警察に……。

廊下へ出ようとして、一歩足を出した瞬間、すごい勢いで突き飛ばされた。

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