クールな社長の甘く危険な独占愛
四
何かされると困って、何もされないと拍子抜け。
「どうしちゃったの、わたし」
さつきは部屋に入ると、自分の額に手を当てる。
気になり出したらとまらない。社長にとっては遊びだとわかっているのに、つい心が持って行かれる。
私は社長のこと、どう思ってるんだろう。
そんなことを思った。
あんなに綺麗な人、他で見たことない。あんな顔で「キスする?」って聞かれたら、誰だってクラクラする。きっと、タレントに夢中になるのと一緒で、憧れに近いんだ。そうにちがいない。
そこでふと、さつきは顔を上げる。
部屋の雰囲気が……なんだか、違う?
さつきの身体が緊張でこわばる。
おかしい。
だって、空気が……どこかから、外の空気が入ってる。
窓開けて出た? ううん、絶対違う。
さつきは恐る恐る玄関の明かりをつけ、リビングの暗闇に目をこらす。
怖くて、リビングに入っていけない。
さつきは後手に玄関の扉を開ける。とにかくこの部屋から一旦出て考えよう。それから……警察に……。
廊下へ出ようとして、一歩足を出した瞬間、すごい勢いで突き飛ばされた。