クールな社長の甘く危険な独占愛

それからの警察への対応は、すべて社長がしてくれた。さつきは廊下に立ったまま、警察が自分の部屋に出入りしているのを、信じられない気持ちで眺める。

警察が調べたところによると、何も取らていないらしい。けれどリビングの床に、持ち込まれたと思われるガムテープとビニール紐が落ちていた。

「レイプ目的でしょうね」
刑事が淡々とした口調でそう言った。

さつきの背中が凍る。
あのまま何も気づかずリビングに入っていたら、何が起こっていたのか。

青ざめたさつきの肩を社長が抱く。

深夜12時頃。やっと警察が帰って行った。

「もう、こちらのお部屋使っても大丈夫ですよ」
刑事がさつきにそう言ったが、さつきはとてもじゃないけど一人で部屋に入れない。

たくさんいた人々が去ったあと、さつきは廊下に立ち尽くした。

「どうするか」
社長が尋ねた。

「……そうですね……」
さつきは自分の身体を自分で抱きしめて、寒さに耐える。

ホテルかどこかに泊まるしかない。
でも、一人で夜を過ごすなんてこと、心細くて。

「とりあえず、今日はうちに泊まれ」
社長が自宅の扉を開ける。

「でも……」
「なんもしないよ」

社長は笑って、さつきの腕をとった。

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