クールな社長の甘く危険な独占愛
ソファの上に体を起こし、驚いた顔でさつきを見ている。
髪には寝癖がついて、右耳の上がぴょんと立っていた。
「お、おはようございます……」
さつきは動揺して、トンチンカンなことを言ってしまった。
「おまえ……」
社長は自分の髪を再びくしゃくしゃっとかき回すと、大きなあくびを一つした。
「休みの日に、会社になんかくるなよ」
そして気だるそうに立ち上がった。
「こっちは、完全に油断してるんだからさ」
「申し訳ありません。すぐに失礼します」
さつきは半ば走るように扉へ向かった。
「待てよ」
社長の手が伸びて、さつきは左腕を掴まれた。
勢い余って、足がもつれる。
「長尾、車運転できる?」
「車ですか?」
「そうだ。何度も言わせるな」
「す、すいません」
「で?」
「車、できます」
「じゃあ、ちょっと家まで送って」
そこでまた大あくび。
「眠くて。今運転するのはまずいんだ」
社長は自分の革靴を蹴って足元に寄せると、面倒臭そうに靴を履いた。