クールな社長の甘く危険な独占愛
さつきが振り向くと、傘をさした昌隆が道の真ん中に立っていた。
「昌隆くん……」
「迎えに来たんだ」
昌隆の顔から表情が失せ、瞳に力がない。コンクリートに当たり飛び散る水飛沫が、膝から下をずぶ濡れにしている。
「彼女が好きだ。連れて行かせない」
社長が言った。
「さつきちゃんは?」
昌隆が問う。
「私は……」
さつきは考える。
父親との約束を違えてもいいのか。
「さつきは、お前のこと好きじゃないんだ」
さつきは驚いて社長を見上げる。
「悩んでるのは、父親との約束を破ることだけ。お前はそれでいいのか?」
さつきの肩を抱く手に力が入る。
「自分を好きじゃない女と、一生暮らせるのか? そんな女を幸せにしたいって、本当に思うのか?」
激しい雨の音。さつきは何も言えず立ち尽くす。
しばらくすると、昌隆の顔に薄い笑みが浮かんだ。
「一発、殴らせろ」
「いいよ」
社長も笑う。
「ちょっと、待って!」
さつきが止めようとした瞬間には、社長が後ろに吹っ飛んでいた。