クールな社長の甘く危険な独占愛
「……おまえ……」
社長はさつきをみつめたまま、あ然とした顔をした。
「婚約者じゃなくて、俺を選んだってことじゃないのか?」
「えっと」
さつきはしばし考え込む。よくわからない。結婚に乗り気じゃなかったのは、自分でもわかってる。社長のことが気にもなってた。でもそれは単なる『あこがれ』かもしれなくて、付き合うってなるとちょっと……こんな遊び好きの人、いいの?
「わかりません」
さつきは正直に答えた。
「なんだよ……」
社長が大きなため息をついた。
さつきは申し訳なくて身をすくめる。
「俺が……この俺が、おまえみたいな地味な女を好きだって言ったんだぞ。どんだけ勇気がいったと思うんだよ……」
社長が顔を覆う。
「すみません」
「俺とキスしたかったって、いってたじゃないか」
「……女性なら誰でも、そうだと思いますけど。一般論的に」
「一般論……」
社長が再び大きなため息をついた。
「ほんと、すみません。あの……どうしたら」
「わかった」
社長が顔を上げる。
「俺は自由にキスするから。したいて思ったら、さつきにキスする。おまえもキスしたかったら、してもいい」
「は?」
「今度は、おまえをキスで陥せたら、俺の勝ちってことにしよう」
どんなルール、それ。
さつきは信じられない気持ちで、社長の綺麗な顔を見た。