クールな社長の甘く危険な独占愛
昨晩は、結局、自分の部屋で寝た。
「鍵を変えたとはいえ、怖いだろう?」
引き止めたそうな社長から後退りしながら、玄関で頭をさげた。
「大丈夫ですから。ご心配ありがとうございます」
一人でいるのは怖いけれど、社長の部屋にいたら、流されちゃう。
あんなキスを繰り返されたら、誰だって……。
秘書室のデスクで軽くため息をつく。
さつきは再び心臓がどくどくと脈打つのを、深呼吸をしてなだめようとした。
そこに社長からの内線。思わず一瞬とるのを躊躇する。
「長尾さん? わたしとりましょうか?」
リカが尋ねたので「大丈夫」と言って、さつきは受話器を持ちあげた。
「長尾、来い」
社長の冷たい声。
「はい」
さつきは立ち上がった。
社長室の扉の前で、メガネを整える。足を揃えて、ひとつ深く息を吸う。それからノックした。
「はいれ」
「はい」
社長はデスクの前に座っていた。肘をつき、さつきを見ている。
「扉を閉めろ」
「はい」
さつきはできれば閉めたくなかったが、社長の言う通りにするしかなかった。