クールな社長の甘く危険な独占愛
「え?」
さつきは社長の少し得意げな顔を見上げた。
「このマンションを建てるときに作らせた。俺の住むところが欲しくて。でも実際に住むと、俺一人には広すぎて落ち着かなかったんだよ」
社長が門扉を開け、中に入る。
「しばらく放っておいたから、今日掃除させた。もう荷物も運び込んである」
カードキーをかざして、玄関の扉を開けた。
まるでデザインルームのような玄関。白い大理石と、白い壁。大きな花が活けられていて、さつきはあまりの豪華さに息を飲んだ。
社長はさっさと部屋へ上がっていく。
「あの、社長、ここお家賃、とても払えません」
さつきは想像していた部屋とのギャップに、どうしていいかわからない。目黒の一等地。それにこんな部屋って、家賃はおそらく百五十万ぐらいじゃなかろうか。
「今まで通りの賃料でいい」
社長がリビングにつながる扉を開く。
「だって、こんなすごいお部屋なのに」
さつきは社長の背中に声を上げた。
リビングの電気がつく。穏やかなオレンジのライト。
「いいよ、別に」
社長が振り返ると、リビングが見通せた。
真っ白な部屋。左手に大きな窓ガラス。そこから夜の東京の明かりが見える。右手にはカウンター付きのキッチンと、手前に白い革張りソファ。床板からは天然木のいい香りが立ち上り、その奥には白い引き戸の部屋が二つあった。
さつきは立ちすくむ。こんなに素敵な部屋は、カタログでしか見たことがなかった。
社長がさつきの手を引き寄せ、隣に並ばせる。
「さつきは、俺と一緒に暮らすんだから」
そう言って、さつきの頬にキスをした。