クールな社長の甘く危険な独占愛
さつきの身体が熱を持つ。
社長が自分を好きだなんて、少しも納得していないのに、つい本気にしてしまいそうになる。
その真剣な眼差し。
「……きっと、すぐに醒めます」
「そうかな」
「そうです」
社長は「ふうん」と呟き、それから少し笑った。
「な、なんです?」
さつきは乱れた髪を手で押さえながら、ちょっと喧嘩腰に尋ねた。
「いや、俺もどうかしてるな、と思って。こんな頑固で俺になびかない女を、本気で落とそうとしてる」
社長がおもむろに立ち上がった。さつきは驚いて一歩下がる。
社長がさつきの手をとって、手のひらにキスをした。
「今にさつきも本当は俺が好きだって気付かせるから」
それから魅力的に笑って、左手の窓に沿って続く廊下を歩き出した。
「シャワー浴びてくる。部屋でも見てれば。ここを出て行くって言っても、行かせないよ」
振り返らず手を挙げた。
廊下の奥でバタンと扉の閉まる音。
さつきはそれを合図に、がくっと力が抜けてソファに座り込んだ。社長が脱ぎ捨てたジャケットが手に触る。
「身がもたない」
さつきは大きく息をひとつ吐いた。
これからずっと一緒に過ごすの?
あの、二次元から出てきたみたいな、超絶綺麗な男性と?
『好きだ』ってキスされて?
「そんなの落ちないわけがないじゃない。もう……勘違いしてからじゃ遅いのに」
さつきは頬を膨らませた。