クールな社長の甘く危険な独占愛
三
さつきはとりあえず気をとりなおし、自分の部屋だと言われた扉を開けた。
十五畳ほどの広さの部屋に、自分の部屋から持ってきた家具が入れられていた。天窓が空いていて、そこから星が見える。
「わあ、素敵」
さつきは窓を見上げ、思わず声をあげた。
自分の持ち物と、部屋の印象があまりにもちぐはぐで、さつきは少し恥ずかしくなった。
『ベッドを買おう』
社長の言葉が突然思い出され、さつきは首を勢いよく振る。
「いや、違うから。勘違いだから」
さつきはぶつぶつと一人ごとを言いながら、ベッドの上に座った。
目の前には、社長の部屋がある方の壁。何枚かの板が連なっているように見える。
ん?
さつきは目をこらす。
これって、ただの引き戸じゃない?
さつきは立ち上がり、恐る恐る壁に手を触れた。かたんと小さな音を立てて、壁の一枚が動く。
やっぱり! これ引き戸だ。
上を見ると、レールが天井にたくさん敷かれていて、どうやら扉を動かすことにより自由にレイアウトできるらしい。
「鍵がかからないってこと……まずい、やっぱりここには住めない」
さつきは慌てて部屋を飛び出したが。