クールな社長の甘く危険な独占愛
さつきは素直に社長の声に従った。
これまた高級ホテルのようなシャワールーム。細かな白いタイルが敷き詰められている清潔な空間。ここはとりあえず鍵がかかる。さつきはしっかりと鍵をかけ、服を脱いだ。
熱いシャワーを浴びながら考える。
自分が今どうしてここにいるのか、どうしても理解できない。
社長の好意が本物だなんて、そんなことあるわけないのに……。
シャワーを浴びて化粧を落とすと、なんだか無防備で落ち着かなかった。蒸気で曇った大きな鏡を、手のひらで拭う。自分の顔を見て首をひねった。
「本当に、どこをどう気に入ったっていうんだろう」
濡れた髪のままバスルームを出ると、すぐに違和感に気付いた。
「おかえり」
ソファに座る社長が、パソコンを膝の上に乗せている。
「社長、あの、これ」
さつきは信じらんれない気持ちで、部屋を見渡した。
「いいだろ〜、広くなった」
社長が満足そうな笑みを浮かべる。
「よく、ありませんっ」
さつきは声を張り上げた。
「壁、どこいっちゃったんですか!?」
さつきと社長の部屋を仕切っていた壁が、すべて消えていた。よく見ると全部奥に寄せてある。
「手は出さないって約束したんだから、いいじゃないか」
「そんな」
さつきはため息をついた。
壁は可動式だからすぐに戻せるけれど、それでもやっぱりすぐにまた社長が壁を取ってしまうだろう。
社長ががっくりと肩を落としているさつきの前に立つ。それからさつきの顎をゆびでくいっと持ち上げた。
社長と目があう。
「手は出さないって言ったけど、キスは自由」
そう言って、さつきに軽くキスをした。