クールな社長の甘く危険な独占愛
そこに秘書室の扉が開く音が聞こえた。
「こんにちわ」
扉のところに、武則が立っていた。ストライプのスーツに青いシャツ。爽やかないでたちだ。
「申し訳ありません。御用でしたら受付の方へお願いできますでしょうか。ご案内いたします」
リカが立ち上がり歩き出すのを、武則が手で制止する。
「いや。僕はここの経営者の兄でね。和茂に会いにちょっと寄ってみたんだよ。長尾さん、いるかな、あいつ」
整った顔で優しく笑いかける。
「いえ、桐田は出ておりまして、戻りは三時となっております」
「そうか。ランチにでも行こうかと思ったけど」
「申し訳ありません」
さつきは頭を下げた。
「いや、なんの連絡もなくきたこっちが悪いんだよ」
武則は微笑み、それからさつきの顔を見る。「長尾さん、お昼すんだ?」
「いえ、まだです」
「じゃあ、ランチ付き合ってもらってもいいかな。一人じゃ寂しくて」
リカの方を見て「いいかな、長尾さん休憩しても」と尋ねる。
「もちろんです」
りかはうなずいた。
「じゃあすみません、先にお昼いただきます」
さつきはりかに軽く頭を下げ、バッグを手に取り立ち上がった。
武則が扉を開けて「どうぞ」とさつきを促す。さつきは恐縮しながら、秘書室を後にした。