クールな社長の甘く危険な独占愛
四
武則と一緒にいるときの、さつきの顔がむかつく。
頬を染めて、まるで憧れているみたいな表情で、武則を見上げていた。俺の前では、そんな顔をしないくせに。いつもなんだか不服そうで、怒っていて、キスすれば応えるくせに『好きかわからない』とか言いやがって。
マジで、腹が立つ。
「で? 何しにきた?」
和茂はソファに座って、足を組んだ。目の前に座る武則は、静かな目をしている。
「長尾さんに、親父が失礼な態度をとったって聞いて、謝りに」
武則が言った。
「……タケが気にすることじゃないだろう? 本当は?」
和茂はメガネを取り、ガラステーブルに置いた。
「親父に、お前の結婚を急かされている」
和茂はそれを聞いて「なんだ、そんなこと」とつぶやいた。「適当にあしらっておいてくれよ」
「お前さあ」
武則の眉間にシワが寄る。
「いつもそうやって逃げるけど、これからどうするつもりなんだ?」
「どうもしないよ。このままいく」
「長尾さんを親父に紹介したら、次にどうなるかぐらい想像できるだろう」
「どうにもならないって」
武則は「長尾さんの身辺調査も始まってるんだぞ」と声を荒げた。
「彼女を巻き込んで、迷惑をかけるなよ」