クールな社長の甘く危険な独占愛
「こいつを俺のものにするんだ。タケには関係ないだろう?」
「カズ、お前……」
さつきが慌てている。
「社長はこういってらっしゃるだけで、全部冗談なんです」
さつきは、武則に向かって訴えかけた。
「長尾」
和茂はさつきを見ずに言った。
「お前の仕事は終わっただろう。出て行け」
さつきが身を縮めるのがわかった。
「し、失礼いたしました」
さつきは立ち上がり、逃げるように社長室を出て行く。
さつきの背中と和茂を交互に見ながら、武則は驚きを隠さない。
「和茂……いつもこんな風に、社員に接してるのか?」
「悪いか? なめられちゃまずいからな」
武則の頬に皮肉な笑みが浮かぶ。
「父親にそっくりだ」
和茂は黙り込む。じっと武則を睨みつけた。
「お前が忌み嫌う父親にそっくりだ。威圧して思う通りにさせる。長尾さんにもこうやって高圧的に接してるのか? 自分のものにするため?」
「さつきには、していない。あいつを本気で手に入れたいんだ」
「本気って?」
武則が探るような視線を向ける。
「本気で彼女が好きなんだ。だから、手に入れたい。それだけ」
「だったら、なおさら」
武則が言う。「だったらなおさら、逃げるのはもうやめろ。お前は親父と、結婚したら家に戻る約束をしてるんだぞ。どうするんだ?」