クールな社長の甘く危険な独占愛

「人形で何をしてらっしゃるんですか?」
あまりにも熱心なので、さつきは思わず尋ねた。

「クレイアニメーションってわかる?」
ごはんを頬張りながら、社長が言った。

「粘土をちょっとずつ動かして撮るアニメですよね」
「そうそう」

社長は「うまいなこれ」と言いながら、話を続ける。

「俺、アニメを撮って、ネットにあげてるんだ」
「そうなんですね。知らなかったです」

さつきの頭に、社長のパソコンの中で繰り返し再生されていた、人形アニメが浮かんだ。

「大学でハマって。こんな映像を創って暮らしていけたらなあって思った」
「……だから、映像制作会社を興されたんですか?」
「うん、まあ、そうなんだけど」

社長が肘をつく。

「ちっちゃな会社でよかったんだよな。気の合うやつと一緒に、採算度外視でさ。でもいつのまにか、こんな会社になっちゃった」
社長が口をとがらせる。

「社長業なんて、つまんねーの一言に尽きるんだよ。疲れるし、俺がやりたいことはほとんどできない。まわりは自分より年上ばっかりで、バカにされないように気を張って……」
「……だから、会社ではあんなに厳しいんですね。ほんとは、こんな感じなのに」
「こんな感じって、どんなだよ」

社長が笑う。

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