クールな社長の甘く危険な独占愛

「社長はすごく魅力的です。無理に厳しい顔をしなくても、みんなついていくと思いますけど」
さつきが言うと、社長が箸を止めて目を丸くする。

「さつきが初めて、俺を褒めた」
「……そう、ですか?」

心からの言葉だったので、急激に気恥ずかしくなる。

社長は口元に笑みを残しながら「親父が『お前はまわりから舐められるぞ』って言ったんだよ。だからまあ、こんな風に振舞うのも意地みたいなものかもな」と言った。

いつも氷の鎧を身にまとい、本当の自分を隠してる。頭が切れて、優秀で、なんでも持っているように見えるけれど、本当は複雑な人なのかもしれない。

「ああ、そうだ」
社長が声をあげた。

「なんです?」
「さつきの身辺調査が始まったっていってた」
「……え?」

さつきはどういうことかわからず首をかしげる。

「親父が結婚を急いでて、さつきを調べ出したんだ。まあいつものことなんだけどさ」

さつきの心に、嫌なモヤモヤが広がってくる。あの父親に言われた言葉が蘇ってきた。

「大丈夫、さつきと結婚するつもりはないんだから。親父が空回りするだけだよ」
社長がそう言った。

「偽の婚約者だろ?」

思ってもいないほど、ズシンとその言葉がさつきの胸に落ちた。

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