クールな社長の甘く危険な独占愛
ラストキス


眠れない日々が続いている。
あの日以来、社長とまともに会話をしていない。部屋にいても、視線を合わせない。すごく意識しているのに、でも自分の感覚の外に社長の存在を押しやっている、そんな感じだ。

混乱する。

社長の素顔を見てから、会社での社長は演技をしているのだと、勘違いしていた。
演技じゃない。あの人の中には、確かに人を威圧するものが存在してる。

パソコンの前で軽くため息。それから首をぐるりとまわした。

「お・か・し・い」
リカが言った。

「……何が?」
突然低い声で言われたので、さつきは驚いた。

リカが愛らしい瞳をさつきに向けていた。

「長尾さん、社長と何かありました?」
「えっ」
さつきは一瞬詰まったが、直後に「何も」と首を振った。

「最近、社長の印象が違ってたんですよね」
「そう?」
さつきが首をかしげると、リカがぐっと顔を寄せてきた。

「言葉ではうまく表現できないんですけれど……なんていうか、浮ついてる?みたいな」
「浮ついてる?」

さつきが驚くと、リカは人差し指で「しーっ」と自分の唇を抑えた。

「楽しいことがあるのかな?って思ってたんですよね。長尾さんもなんだかソワソワしてるし」

リカがまじまじとさつきを見る。
「社長と、付き合ってるんですか?」

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