クールな社長の甘く危険な独占愛

「そんな、まさか」
さつきは笑って、それからメガネを取る。ごまかすように目をこすった。

「だって、あの社長よ。怖くって」
さつきがいうと、リカは腕を組んだ。

「まあそうですよね。二十四時間あの調子でいられたら、身がもたないとは思います」
「でしょう?」
さつきはほっとして、メガネをかけた。

「じゃあ、長尾さんがソワソワしてたのって……」
「気のせいじゃないかな? 落ち着かないのは落ち着かなかったの。ちょっとプライベートでごたごたして」

さつきがそういうと、リカははっとした顔をした。

「そうですよね。長尾さん傷心中でした。そうか、まだ吹っ切れないんですね」
「ま、まあね」

さつきはリカがそう納得してくれたので、とりあえずほっとした。

「じゃあ、新しい恋見つけましょ。合コン! 合コンしましょう」
リカがパチンと小さく手を叩いた。

「合コン?」
さつきは驚いて声がひっくり返る。

「そう。今夜、人集めますから! 社長は今日の夜、会食でいないんですよ。チャンスですっ」

そこに社長室の扉が開いた。
リカの口が速攻閉じて、すました顔になる。

「日広に行ってくる」
相変わらずの冷たい声で言った。黒髪にえんじ色のネクタイがよく映えて、本当に雑誌から飛び出てきたような姿。

あ、お父さんの会社……。

「いってらっしゃいませ」
さつきは頭を下げた。

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