クールな社長の甘く危険な独占愛

夜の新橋。小さな居酒屋の座敷席。

急ごしらえだったけれど、リカはちゃんと合コンメンバーを集めてきた。合コンといっても、こちら二名に、男性二名。

「じゃあ、楽しみましょう」
もうすでに酔っているかのようなハイテンションの一人が、乾杯の音頭をとった。

騒がしい店内。焼き鳥を焼く煙で少し白く霞みがかっている。

さつきは髪を下ろし、メガネを外した。
というか、さっきトイレでリカに外された。

『長尾さん、今日はちょっとオシャレにしてください』
『でも、メガネを外すと何も見えないの』
『大丈夫、見えないとちょっと顔を男の人に寄せるでしょう? いい感じに色気が出るから』
『……リカちゃん、すごいね』
『まかせてください。合コンはもう数え切れないくらいしてきましたから! ほら、胸元のボタンも多めに外して!』

さつきはリカに言われるがまま、メガネを外しバッグにしまっただった。

だから今、隣に座る男性の顔も、薄ぼんやりしている。

「長尾さんって、大人の女性って感じだね」
隣の男性が喋る。薄ぼんやりながらも、割と整った顔をしているのはわかった。

「ありがとうございます」
さつきは一応礼を言って、ビールに口をつけた。

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