クールな社長の甘く危険な独占愛

さつきはその声に驚いて、はっと上を向く。

テーブルの目の前に、社長が立っていた。薄ぼんやりしていたけれど、一目でわかるそのオーラ。

「社長。どうしてここに」
リカが慌てている。

「会社に電話を入れたら、残ってた秘書が二人はここだって教えてくれた」

社長はスーツのジャケットを脱ぐと、ネクタイを緩める。髪をかきあげ、手でラフに崩すと、メガネを取った。靴を脱いで、さつきの目の前にあぐらをかいた。

「それで? どの子狙い?」
社長が尋ねた。口元に不敵な笑みを浮かべ、さつきの隣の男に喋りかけた。

男が息を飲んだ音が聞こえた。さつきの肩に回した腕に躊躇が現れる。
リカは心底驚いた表情で、社長をじっと見ていた。

さつきの心臓がばくばくし始める。会社の社長じゃなく、ちゃらい方の社長だ。

「肩に手を回しちゃって、さつきを落そうって?」

「いや……」
男の手が肩から外れる。明らかに萎縮してる。

「さつきは難しい女だよ? そこらへんのすぐヤレる女とは違う。俺でさえ、まだ抱けてないんだ」

リカが目を見開いて、さつきと社長を交互に見比べた。

「だからこの女は特別。悪いけど、他当たってくれる?」
社長がさつきをちらっと見て微笑んだ。妖艶な微笑み。女性的な面立ちの中に、男性の色香。

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