クールな社長の甘く危険な独占愛

さつきは立ち上がった。

「おい」
社長が腕をさつきを引きとめようと、腕を取る。

「離してください」
「せっかく捕まえたのに?」
「わたしはあなたの秘書であって、恋人じゃありません」
「俺のこと、好きなくせに。強情だなあ」

さつきは手を振り払うと、バッグを掴んで靴を履いた。社長も仕方がないというように立ち上がる。

「篠山、合コンダメにして悪かったな。先帰るから」
「は、はい」
リカが未だ事態をつかめていないというように、ぼんやりとした声で返事をした。

さつきは大股で、店を出た。

すぐにぐいっと腕を引っ張られる。
「車、こっち」
「嫌です」
「何いってんだ」
「一緒に帰るの嫌です」
「じゃあ、どこで寝るんだ?」
「わかりません!」

血管切れそう。今にも喚きそう。っていうか、もう喚いてるかも。

さつきは社長を睨み上げた。

「ひどいです! リカちゃんにあんな風に言って」
「いいじゃないか、別に」

社長の気軽さに嫌気がさす。

「秘書室は、社内恋愛禁止なんですよ! わたしをクビにしたいんですか?!」

社長が「ああ、なんだ」と笑う。
「篠山はしゃべらないよ。大丈夫だ」

「それでも!」
さつきがさらに噛みつこうとすると、社長は「はいはい」と軽くいなしてさつきを車まで引っ張っていった。


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