クールな社長の甘く危険な独占愛
胸が激しく鳴り出す。現実感のないその人を前に、自分がおかしくなる。
「社長……あの」
さつきは起き上がろうとしたが、両手首を強く掴まれマットレスに押し戻された。社長の指が食い込んで、さつきは思わず唇を噛む。
社長の綺麗な瞳に黒髪がかかる。頬から首筋。喉仏から鎖骨にかけて、どうしようもなく男性を感じた。
「今から抱くって、言ったら?」
社長が低い声で言った。「逃げる?」
社長の手のひらの暖かさ。組み敷かれている鈍い痛み。
その視線。
ーー気がふれる。
いっそのこと、わたしを抱いて、そして、一思いに捨ててほしい。
「……逃げない」
社長の身体が沈み込み、さつきに唇を寄せた。シャンプーの香りが鼻をかすめる。少し湿った髪がさつきの額に触れた。
両頬をその手で包まれて、貪るように唇を合わせた。息があがる。社長の熱い息が自分のそれと交わって、体温が一気に駆け上がる。まるで炎の中に飛び込んだような熱さ。さつきは社長の首に腕を回した。
「好きだ」
低い声が薄闇に響く。
「好きだよ」
唇が首をはうと、背筋がゾクッと震える。
社長はベッドの下に白いシャツを脱ぎ捨てる。乱れた髪をかきあげて、さつきを見下ろした。無駄のない身体に、月明かりが光る。
さつきは身体を起こした。