クールな社長の甘く危険な独占愛
社長の腕が伸びて、さつきの髪を指に絡める。さつきは目を閉じた。
この人は、たくさんの女の人を抱いてきた。
何回となく「好きだ」と言ったにちがいない。
耳の後ろに、キス。
長く、自分のものだというように、強く、跡をつける。
ーー誰がこの人を拒否できるだろう。たとえ心はもらえないと、知っていても。
何度もキスをする。
舌を絡めて、何度も、何度も。
喘ぎに似た声が漏れる。
背中に回された手が、さつきの身体を締め付けた。シャツを剥ぎ取り、下着を押し上げ、飢えを満たすようにさつきを狂わせる。
「好きだ。さつきが好きなんだ」
懇願するように、囁いた。「俺を好きだって、言えよ」
さつきは目を開けた。
目の前にいる男性は、どこか現実感がない。わたしは映画を見ている観客だ。唇で触れて、熱さを感じるのに、一緒の場所にいない気がした。
「わたしが……」
さつきは言った。「わたしが十代の少女なら、これを恋と呼ぶかもしれません」
社長と目を合わせたまま続ける。
「キスされると、胸が高鳴り、身体がしびれる。はしたないけれど抱いてほしいって望む」
さつきの頬に涙がこぼれた。