クールな社長の甘く危険な独占愛
「社長……これから一体どこへ?」
さつきは動揺しながら問いかけた。
エレベーターが到着する。
社長はポケットに両手を入れて、エレベーターに乗り込んだ。
「今から俺のこと、名前で呼んで」
「え?」
「和茂って呼んで」
「……はあ?」
「俺はさつきって呼ぶから」
涼しい顔で、そんなことを言う。
さっぱり理解できない。
「あの、社長」
「和茂!」
「あ、和茂……さん。あの、どういうことでしょう」
すると、和茂の顔にいたずら好きの子供のような表情が浮かんだ。
「ついてくればわかる」
そして、満面の笑みを浮かべた。
最高に魅力的な笑顔でそんなことを言われても、悪い予感しかしない。
さつきは落ち着かず、クラッチバッグを胸に抱いて、うつむいた。
しばらくして、エレベーターが一階に到着する。
エントランスには、すでに黒いタクシーが止まっていた。
「さつき、おいで」
そう呼ばれて、さつきは和茂の顔を穴があくほど見つめてしまう。
和茂は笑い、さつきをタクシーにエスコートする。
「目黒雅叙園まで」
そういった。