クールな社長の甘く危険な独占愛
頬に暖かさを感じて、目を開けた。いつのまにか、窓から朝の日差しが差し込んできていた。いつのまにかソファで眠ってしまっていたらしい。
和茂は閉じられたさつきの部屋の扉を眺めた。
武則の『和茂は信じない方がいい』という言葉を聞いて、一瞬我を失った。その様子を見て、さつきは怖がっていた。会社で高圧的な態度を取るのとはわけが違う。それが自分でもショックだった。だから飲みに行ったさつきを迎えにいくのに、軽い感じでいったのに、やっぱりさつきには受け入れてもらえなかった。
だって、迎えにいったのは、本当の俺じゃないから。
「見事な返り討ち」
和茂は軽く笑った。
どうしたらいいのだろう。さつきを手に入れたいけれど、桐田の家には関わらせたくない。意地で始めた会社は、いつのまにか大きくなって、自分のやりたかったこととは程遠くなっている。
自分がちぎれそうだ。
本当の俺は、どんな男だったんだっけ。
和茂はバスルームに入り、鏡を見た。
ストレートの黒髪。大きな瞳に、通った鼻筋。大概の女が、俺の外見に酔う。さつきも他とそう変わらなかった。俺の顔に見とれているときもあったし、キスしたら顔が真っ赤になる。
でもこんなに、本当の俺を求めてきたのは、さつきがはじめてだ。
和茂はうれしそうに頬に笑みを浮かべると、シャツを脱いでシャワーを浴び始めた。