クールな社長の甘く危険な独占愛

目黒雅叙園に来たのは初めてだ。

さつきは、自分がどうしてここにいるのかわからない。
ただ和茂に引っ張られて歩いているだけだ。

「社長、私は何をしたらいいんでしょうか」
社長に腕をとられているさつきは、よろめきながら尋ねた。

「名前で呼べって。バレるだろ」
「ばれるって……どういうことでしょう」
「俺に合わせてくれるだけでいいから」

雅叙園内の日本料理のお店にたどり着いた。
こんなに高級そうなお店になんて、入ったことがない。
さつきは緊張で頭がじわじわと痛くなってきた。

着物姿の給仕の方に「桐田です」と伝えると、「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」と丁重に案内される。

そして一番奥の部屋に通された。

「遅いじゃないか」
第一声、そんな声が聞こえた。

「悪かった。俺が昨日徹夜だったんだ」
和茂はそう言って、さつきの肩をさりげなく抱く。

さつきはびっくりして思わず身を引いたが、細い腕からは想像もできないほどの強い力でがっちりと押さえ込まれた。

「彼女が?」
上手に座っていた一人の男性が尋ねた。

「そう。結婚するんだ」
和茂が言った。

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