クールな社長の甘く危険な独占愛
「秘書のくせに、感情が顔に出ちゃうんだな」
さつきは、はっとして右手で自分の顔を触る。
「秘書としてはどうかと思うけど」
社長の手がのびて、カップを持っていたさつきの左の指を触る。
さつきは驚いて、社長の顔を凝視した。
「女としては、可愛いんじゃないか?」
指を絡めるように、きゅっと握る。
顔に火がつくのがわかった。
社長が頬杖をついて、試すようにさつきを覗き込む。
「あの、社長、どういう……」
「練習」
「何の練習でしょうか、これ」
「掃除……っていうか、いい加減名前で呼んでよ」
「でも」
「じゃあ、いこうか、さつき」
社長は笑うと、そのままさつきの腕を引っ張りあげ、立たせる。
さりげなく腰に手を回されて、さつきは頭がぐるぐるしてきた。
「社長、えっと……あの……」
「黙って、さつき。俺のこと社長って呼んだら、給料減らすよ」
「……えっ」
社長は子供のように声を出して笑う。
さつきは、呆然とするしかなかった。