クールな社長の甘く危険な独占愛
壁際にあるベロア生地のソファ席に座った。
ガンガン鳴り響く音楽。
明滅するライト。
何が楽しいのか、皆、声を立てて笑っている。
ソファの上で、社長はさつきから手を離さない。
手を離した途端、逃げ出すとでも思っているかのように。
あたり。
逃げたくてしかたない。
だって、この人、いつもの社長と全然違う。
いつもの社長からも逃げ出したいが、こっちも……。
さつきは社長を見上げる。
なんなの、この人。
チャラすぎるでしょ。
「和茂、新しい女連れてきたって?」
男女問わず、続々と人が集まってくる。
「清純そうだな〜。騙してるんだろう?」
「わかる?」
社長が爆笑。
さつきは完全に見世物になっている。
不愉快極まりない。
「ちょっとー、アタシと結婚してくれるって言ったじゃないっ」
胸がやたらと大きな、先ほどとはまた別の女性が、勢いよくやってきた。
「言ったかなあ」
社長が笑いながら、グラスに口をつける。
「お前、相変わらずひどいなー」
男がにやにやしながらいう。
「お嬢さん、この男、本当にまずいよ。今すぐ別れた方がいい。今夜だけ俺に乗り換えてよ」
いやらしい笑い声。
さつきは居心地が悪くてたまらなかった。
「だめだめ。さつきは俺のもんだから」
社長が再びさつきの頬に軽くキスをする。
電気が走るみたいに、身体がビクッとした。
本当にもう、雇い主でなかったら、殴り倒したいところだ。