クールな社長の甘く危険な独占愛
「さつきもいつか、俺とキスしたくなるよ」
「はは〜、何を馬鹿なことを」
さつきの頭は朦朧として、現実と夢の境目を行ったり来たり。
シャンパンの甘い香りに、道路を駆け抜ける細かな振動。
社長がさつきの顔を覗き込む。
「キス、したくなる」
唇に笑みを浮かべた。
目の前にいる、この現実離れした容貌の男は、きっと現実じゃない。
そうそう、社長であるはずないんだから。
だって社長は、こんなに女に手慣れて、遊んでないもの、きっと。
冷たくて、怖くて、でも、すごくできる人なの。
「絶対に、したくなりません」
さつきは、ろれつの回らない声で、呟いた。
「死んでも、あなたみたいな人と、キスなんか……」
ふわふわしながら、目を閉じる。
耳もとで、軽く笑った気配がした。
「じゃあ、キスしたくなったら、さつきの負けだからな」
そう、聞こえた。