クールな社長の甘く危険な独占愛
電車の中で、自分が何をしでかしたのか、真剣に考えてみた。
っていうか、あれは全部夢だったような、気がする。
だいたい、社長があんな、チャラチャラしてるなんて……あるわけがないし。
だって、あの社長よ?
さつきは一人、うんうんうなづく。
そっか。みんな、夢だ!
か、もしくは、すごく似てるけどまったくの別人。
春の日差し。
ビルのガラスが、キラキラと朝の空気に光を散らす。
電車に揺られながら、さつきは携帯を取り出した。
あの夜、あのひとに電話する約束だったのに、すっぽかしてしまった。
確認すると、十回以上の着信記録。
慌てて昨日、折り返して謝ったのだった。
さつきは、ため息を一つつく。
「いつ、帰ろうかな」
誰にも聞こえないよう、小さく呟いた。