クールな社長の甘く危険な独占愛
「今日も、ピリピリ」
リカが首をすくめる。
さつきは「そうね」と頷いて、いつもどおり仕事を始めた。
でもすぐに内線がなる。
「はい」
『長尾、来い』
「かしこまりました」
さつきは受話器を置いて、少し考える。
仕事の話……よね?
「呼び出しですか?」
リカが大げさにブルブルっと震えた。
「そう」
「気をつけて」
リカに見送られながら、さつきは社長室の扉をノックする。
「入れ」
冷たい声が聞こえると、さつきは「失礼します」と部屋と入っていった。
社長はデスクの上で、書類に目を通している。
黒髪が銀縁メガネの上にかかり、その下からシャープな頬のラインが続く。
長い指が前髪を梳いて、眼鏡越しにちらっと目元が見えた。
「長尾、千葉への連絡が土曜日だったみたいだな」
書類から目を上げず、社長が言った。
さつきの背中がピンと伸びる。
じわりと汗をかいてきた。
「はい」
「僕は金曜日に言った」
「はい、申し訳ありません」
さつきは九十度で頭を下げた。
「二度とごまかすな」
社長が言った。
「申し訳ございません。以後気をつけます」
さつきは更に深く頭を下げた。