クールな社長の甘く危険な独占愛
目の前に、メガネをかけた社長の綺麗な顔。
でも、これは社長じゃない、よね?
土曜日に会った、うわついて、遊んでいる、男の人。
私にキスしようとした、人。
「さあ、どうやって、その気にさせようか」
にやりと笑う。
逃げなくちゃ。
さつきはドアノブを回そうと、手に力を入れたが、社長の手がさつきの指をぐいっと引っ張る。
そのまま、さつきの指先に、社長が唇をつけた。
さつきは驚きで、固まった。
「ああ、それから……」
指先に、社長の声の振動が伝わる。
「このことは、二人だけの秘密だからな」
軽い音を立てて、さつきの指先にキスをする。
さつきは、完全に腰が抜けてしまった。
冷たくて怖い人だと思ってたけど……。
ズルズルと床に座り込む。
見上げると、社長が舌を出して、子供のような笑顔を見せた。
冷たくて怖い人だと思ってたけど、
違う意味で、どんでもない人だった……。
さつきは、大きな息を一つはいた。