クールな社長の甘く危険な独占愛
パーツすべてが完璧な形と配置。
さつきは息を飲んだ。
「はい、そこまで」
マスターが社長の間に腕を差し込んだ。
「こんな純情そうな子に、色気で迫ろうなんて、野暮な話よ」
「そんなこと考えてないって。色気は、自然に出てくるっていうか」
社長がおどけると、マスターは仕方がないというように首を振った。
「こんなんだから、お父さんに早く結婚しろって言われるのよ」
「結婚ね、まあ、そのうち」
社長がぐいっとグラスを空にする。「マスター、同じのもう一つ」
「親としては、早く子供を落ち着かせたいというか」
マスターが続ける。
「親父は跡取りが欲しいだけ」
社長は、投げやりな感じでそう言った。
さつきはふと『お兄さんがいるのに、跡取りを弟に望むものなのかしら』と考えた。
社長と目が合う。
すぐに逸らされた。
考えを読まれた。
そんな気がした。